１０代の頃から憧れている「治療家像」

こんにちは。整体院きなりのこいしです。

このコラムは、10年以上前に書いたコラムを加筆修正して、再アップいたしました。読んだことのある方も、ぜひ、もう一度お読みくださいね。

「先生、出逢ってくれてありがとう！」

私には、10代の頃から、憧れている・・治療家像があります。

それは、「出逢うだけで治ってしまう治療家」です。

まだ治療家の仕事をしていなかった、サラリーマン時代には、そんなことをイメージしていた時もありました。そして、実際に・・この業界に入り、一人の治療家になり始めた頃は、そんなイメージは崩れて、「そんな治療家に届くのは程遠いな」と思うようになりました。

憧れは持ちつつも・・・「そんな治療家おれへんやろ・・」と。

でも、開院して15年。実際には、まだまだなんですが・・以前、こんなことを言われたことがありました。「先生、出逢ってくれてありがとう！」と。治療家としては、最高のプレゼントです。

こんなにうれしいコトバはないと思います。「治してくれてありがとう」でもなく、「おかげで元気になりました。ありがとう。」でもなく、「すごい治療方法ですね。素晴らしい。」でもなく、「出逢ってくれてありがとう。」

特に・・このコトバが胸に響きました。

もしかしたら・・出逢った時点で治るのは決まっていたのかもしれません。
出逢うということが、一番のきっかけだったのかもしれません。

私にも、「出逢っただけで治ってしまう治療家」の欠片（かけら）があるのかもしれない。今は、そんなふうに思うようになりました。それは、とある治療家哲学との出逢いがきっかけでした。

治療家哲学との出会い

人との出逢い。出来事の出逢い。価値観との出逢い。いろんな出逢いがありますが、今回は、哲学との出逢いでした。

患者さんが治る際に、物理的な施術や、治療方法や、栄養、運動、睡眠といったことも大切ですが、それ以上に治そうとする姿勢や、心構え、精神状態がより重要です。

同じように、治療家にとっても、どんな施術をどんな環境で提供するかも、大切ではありますが、それ以上に、治療家としての心構えや、どんな価値観で患者さんに対応するか、というのがさらに重要になってきます。

「治す」を手放すこと

一時期、私は、治すのに必死でした。なんとかして治ってほしい。そんな想いでいっぱいでした。それが当たり前だと思っていました。治療家なんだから、治すのが仕事。そう思い続けていました。

多くの患者さんも、そう思っていたことでしょう。私に治してほしい・・と。でも、治療家哲学を学び、その考え・必死さを手放すことができました。

 なぜなら・・治すのは・・「患者さん自身」だからです。

いつ治るのか、いつどれくらい改善していくのかも、「患者さん自身」「患者さん自身のカラダ」が決めることだからです。私には、治すチカラも、いつ治るかを決める権利もありません。

私たち、治療家ができることは、患者さんのココロとカラダにそっと寄り添い、ココロのメッセージを聴き、カラダの叫びを受け取り、患者さん自身が、そのことに気づけるよう、サポートしていくだけです。

「気づき」を促すこと

治療家としては、患者さん自身に備わっている自然治癒力が発揮しやすい状況を作れるよう、お手伝いをすることがお仕事です。

ただ、症状が治るよう促すことだけでは、片輪の車のようなものです。「ただ治る」よりも、大切なことがあるのです。症状＝メッセージ。何かの気づくべきことや、学ぶべきことがあるときに症状というのは発症します。

だから、その気づきを促すのも、治療家として大切な仕事だと思っています。

「患者さん」を信じ切ること

そして、私は、患者さんを信じています。治ってしまうために、出逢ったのだから。治すことを手放し、ただ寄り添い、信じる。この流れになってから、なぜか・・・治っちゃう人が増えました。

症状が、もういいね！って、卒業していくんでしょうね。

「私に任せなさい！必ず、治してやるから！」このような先生もステキだし、頼りがいがあるように思えるかもしれません。一時は、このようなタイプの先生も必要かもしれません。

でも、いつまでも、このままだと、その先生に依存してしまう可能性があります。どうせ依存するなら、自分自身の素晴らしい力（自然治癒力）に依存してほしい。私は、そう思います。

私は、あなたを信じています。だから、一緒に一歩一歩、必要なことを進めながら、あとは、カラダに身を任せて・・そして、「治っちゃいましょう」。

人間関係の問題でも同じ

この「治すを手放す」という哲学は、人間関係の問題でも応用できます。「解決」を手放すと言い換えるとわかりやすいかもしれません。

人間関係に多くの方が悩んでいます。当院は、ストレスセラピーなどもやっているので、そういった、精神的なお悩み、心理的なお悩みの方も、たくさん来られます。

その人間関係の問題を解決することを「手放す」。そうすると、不思議と、その人間関係の問題が、解消しちゃう場合が多いんです。

これ、不思議とそうなんです。私も、けっこう、おせっかいを焼くほうなので、何か、人間関係のトラブルのハナシなんかを聞くと、なんとかして、解決して差し上げたい。と・・・院でも、プライベートでも、あくせく動いていました。

そうすると、余計にこじれたり、問題が複雑になったり、動いたことが違う問題を生んだり・・そんなことも時にはありました。

今は、無理に解決しようとしません。いつのまにか、スーッと離れて解消できるように、スパイスをちょっと入れたら、後は、ただ・・待ちます。

そうするだけで、解消しちゃうわけなんですね。

「治す」「解決する」　
そんなことを手放すと・・今まで見えなかった「景色」が見えてくることでしょう。